志賀郷杜栄社のしごと3

山や自然に、もっと直接関わる仕事がしたい

志賀郷杜栄に入社する前は、環境アセスメントの調査会社に勤めていました。もちろん全てがそうではないのですが、調査は「開発」という名の自然破壊のための「免罪符」のように思えてきて、ほんとうにこれが自分のやりたいことなのか?という疑問を感じるようになりました。

もっと直接的に山や自然にかかわりたいと思い、一旦その仕事を辞めました。その後、知人に「山のことをやっている面白い会社がある」と紹介されたのが志賀郷杜栄です。ここでは森の木を自分たちで切って、搬出して…と、自分たちのところを木が経由していきます。自分たちで「こういう森林にしていこう」という森の行方を主体的に決められることがすごくいいところです。

現場での測量作業

子供たちに伝える、身近すぎて気づかない、山や自然の大切さ

幼い頃は田舎育ちだったので、身近にある豊かな自然や環境について強く意識していたわけではありません。が、大学で「森林生態学」という学問として森林のことを学ぶようになってから、森林の持つ大きな役割を理解し、自然や環境に興味を持つようになりました。それまではただ「木が植えられている」とか「植物がある」くらいの認識しかなかったのですが、植物は生物が生きていく上で欠かせない重要な存在だということも大切な学びでした。

子どもたちを対象とした環境学習も、わたしの大切な仕事のひとつです。今日も京都府の方と一緒に、ここからいちばん近い地元の小学生、5年生7人に向けて出前授業をしてきました。まず府の担当者が「森は空気をきれいにしたり、水を守ったり、土を守ったりする」という話をされて、その後実際に山に入ってのフィールドワーク。植物の匂いを嗅いだり、実際に木の実を食べてみたり、五感で自然を感じてもらいます。子どもたち、ものすごく喜びますよ。「まずーーーい!」とか言いながら食べていました(笑)。

山や自然は身近すぎて、その大切さが見えにくいものです。でも小さい時からこういう機会があれば、山の働きを知って、大切に思ってくれる子が増えると思います。こうやって直接伝わり、反応が帰ってくるのがうれしいですね。成長すると都会に出てしまう子が多いので、地元の魅力を伝え、自分の故郷に愛着と誇りを持ってもらうきっかけになることも、子どもたちへの優れた教育ではないでしょうか。こういう環境教育的なこともしているいい会社です。

地元の小学生を対象とした環境学習

山と人間との関係を見直す時期だからこそ

今は林業の転換期だと思います。戦後木材が不足して、もともと自然林や田んぼだったところにも、たくさんの木が植えられました。戦争が終わって50年以上が経ち、それらの木もどんどん切って使っていく時期のはずですが、あまり使わずに放置され、使わなくてはいけないけれども活用できていないのが実情です。日本人自身、山から精神的にも物理的にも離れてしまいました。ですが、離れているということは、逆に人と山との関係を見直す時期でもあるのかな、と思っています。

あまりにも奥まで人工林になってしまい、人が入っていかない山は経営も成り立ちません。人が手入れできないところは自然の山に戻していって、人間の手の届くところだけ人工林にするという、昔の山のあり方に変えていってもいいんじゃないかと思っています。実際に人工林を元の自然林に戻す事業も始まっています。日本全土は無理なので、少しの面積でも実現できたらうれしいです。

もちろん自分一人だけの力ではできないことで、大きな話かもしれません。わたしの夢というか、希望というか…こんな時期だからこそ、少しでも山と人間との関係が良くなるために力を尽くしたいです。

間伐後の人工林の下に広葉樹が自生