志賀郷杜栄社のしごと2

幼い頃から、山の仕事はいつも身近にあった

僕が入社したのは昨年の春。この仕事についたばかりの新人です。就職する前は、林業大学校で勉強していました。2年制で伐採法などの林業の技術や森林保全活動などが学べる学校です。ここは森林の仕事の即戦力を育てるという意味あいが強く、チェンソーや重機の資格をとるなど、実践的なことを中心に勉強していました。

この学校のカリキュラムの中に、実際に民間の事業体や森林組合へインターンシップとして1か月行く研修がありました。その際に、志賀郷杜栄の前身である協栄建設の森林事業部をインターン先に選びました。決め手は、林さんの四万十式で道を作っていることでした。林業大学校の研修でも、この方法で作った道を見学させてもらいました。他の方法より経済的な上に、丈夫な道であることが大きな魅力です。

また、僕の父が京都市の京北で林業の仕事に携わっており、将来的に家業を継ぐつもりですので、修行という意味も含めて来させてもらったのです。小さいころから山に連れて行かれて、父の仕事をずっと見ていたので、山はいつも自分の近くにありました。

現場での作業風景

今の仕事は、もうひとりの作業員の人といっしょに森の間伐をしたり、切った木を出したりすることです。新人なので、実際間伐をするにしても、自分たちでどの木を切るか選ぶのが難しいです。本当にこの木を切ってもいいのかなとか、そういうところでひたすら悩んでしまい、答が導き出せないことがまだまだあります。ある程度は自分たちの采配に任されているのですが、実際に山に入ってみると何本も木が生えていて、これはこうだけどここがだめ、あっちはこれがだめ…となった時に、両方切ってもいいというわけではないんです。

「適正間伐」と言って、野菜を育てるときの間引きのようなものと言えばよいでしょうか、これをしなければなりません。同じ場所で何本も切るわけにいかないので、適切な間伐をすることが大切なのですが、これが難しい。切る木を決めるのは大変です。ある程度セオリーがあることはあるのですが、そこでも決めかねるといいますか…。

間伐作業の現場

先人の思いに応え、山を守り続けたい

仕事をしていて楽しいのは、作業に入る前と、入った後の山を見る時です。間伐がうまくいって、間隔がぽつぽつと開いて、ちゃんと整備できたなと感じると、達成感があります。森の中で風に吹かれている休憩時間、本当に気持ちがいいものです。手入れする前は木がびっしり生えていて森は暗いのですが、木を切って手入れをすると、森に光が入って、山の奥まできれいに見えるようになります。光が届くことで、残した木たちがまたひとまわり大きく育っていくんだな、と。

林業は数十年のスパンの仕事ですから、結果的にその姿を見られるかどうかはわかりませんが…。すぐ答えが出るわけではないんですね。先人たちの植えてきた木があって、それを今、自分たちが切って出しています。今触っているのは、ちょうど戦後くらいに植えられた木なんですよ。先人たちの思いに応えられているのかな?と思うこともあります。今は木を出す仕事がメインですが、将来的にはその前の課程、切る前の苗を植えるといった仕事もやってみたいですし、木を育てる仕事もやってみたいです。

近年、大きな自然災害が増えてきました。家の方に倒れてくる木などを心配して、台風の前に木を切ってほしいという仕事も多いです。特殊伐採といって、普通は山の中で木を切るので、どこに木を倒しても地面しかありませんが、住宅街ではどこに倒してもいいわけでないので、簡単に切れるものではないんです。お墓の中の木もあったりしますしね。これだけ災害が多くなると、山の管理はとても大切な仕事です。難しいですが、こういう仕事もやって、経験値を積んでいきたいと思っています。